2016/01/24

雪ちゃん(2010)

雪ちゃん
 黒崎立体


ぼたん雪が落ちていくのを
部屋の窓からながめていた
集団自殺みたいに
ぼろぼろ、
ぼろぼろ、

こんな冷たい夜に
ようやく存在して
陽が射せば溶けてしまう
これがわたしの名前なのか
見せつけられて
水槽が凍る

ひとつ育つたびに
ひとつ温度を失くすような
生活だった
背中をまるめて
ぼろ雑巾のようにくたびれた
あなたが浮かぶ
ごめんね、
ころしたかったね、
いつまでも濁ったままの水槽を抱えて
電車に乗ったその夜は
水銀に似て
わたしの意識の鋳型を取った
(むりやりにつながれた星座を死ねますように
((死ねますように
(((死ねますように
ふるえるように
笑うと
むきだしの床にぼろぼろと
結晶が落ちる

見えますか
あなたがつけた名前の通りに
凍えて生まれた
六角形です
わたしはこうして
あなたが憎い

愛してほしいと
求めることが間違いだった
ひび割れていく水槽から
氷点下の鼓動が聞こえる



(『詩と思想』2012年1・2月号「2011ベストコレクション」掲載/電子詩集『dimensions』収録)

2016/01/16

予告:終わりのはじまりvol.10 最終号


2月8日(月)に、ネットプリントによる個人誌『終わりのはじまり』vol.10 最終号 を発行いたします。
ゲストは、なみたまさんです。

ゲストプロフィール:なみたま
1995年7月生まれ。男。大阪大学理学部数学科1回生。大阪大学短歌会所属。
詩は高校生の頃、短歌は大学生になってから書き始めました。浪玲遥明、青原整というPNを使っていたこともあります。
連絡先:namitamaharuaki[at]yahoo.co.jp

なみたまくんに、今回は詩を書いてもらいました。
最近だと『あるところに、』Vol.6に詩「雨」が掲載されています。
また、阪大短歌会の機関誌『阪大短歌』4号に連作「無音」が掲載されています。先日、食器と食パンとペンに登場したなみたまくんの短歌は、この連作のなかの1首です。

『終わりのはじまり』通常は1週間の配信ですが、今回は最終号ということもあり、2週間の配信を予定しています。
お読みいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

終わりのはじまりvol.10 最終号 background music:
glow by keeno
http://www.nicovideo.jp/watch/sm11209477




10号まではかならず作る、と決めて『終わりのはじまり』を始めました。
その10号を最終号にしようと決めて、内容を考え始めていた時に、
『終わりのはじまり』をずっと読んでくれている方からお手紙をいただきました。
そのお手紙を読んで、最終号のゲストはなみたまくんしかいないと確信しました。
引き受けてもらえて本当に嬉しかったです。ありがとうございます。

最終号、見届けてもらえると嬉しいです。
よろしくお願いします。

2016/01/14

遠い夏

  遠い夏
   黒崎立体


遠い、としか言えないような
夏をいつのまにか持っていた
のぞきこめば
そらのひかり、植物の気配、ぬるい打ち水、
すべては断片で
どうしようもなく

ときおり、洗たく物から
ふっと嗅ぐ漂白剤に
たとえば呼び起こされて
仕事帰りの母からは
夏でもつめたい匂いがした
くすんだ色の、
目かくしの布をながめるのが好きだった
ベランダの窓をすこしだけ開けて
切り取った空に凭れて
きょうとあしたの
区別なんて知らなかった

すべては、断片で、
だれが砕いたわけじゃない
つなげることもできずに ただ
遠い、としか言えないような
夏を
いつのまにか持っていた



(初出:『詩と思想』2012年06月号投稿欄)

遠い夏

2016/01/10

耳(初出:フリーマガジン『あるところに、』Vol.5)




 耳
   黒崎立体



きみ、

呼びかけると きみがいる
うすいろの空気に きみ、

雨上がりと
割れた鏡の似ていることに
きみを呼んで気づく、
手をはわせると 手はきずついて
ぬれた土のにおいがした

きみ、

人はどうして
くだけていくときがいちばん
やさしいのか、
きみは骨を隠すように 同じ言葉を何度もつかう
わたしは、きみを呼んでいる
何度も呼んでいる、

きみ、

遠くに、いつか耳がある
わたしを 脈拍とまちがえる耳


(初出:フリーマガジン『あるところに、』Vol.5 / 2015年5月4日発行)

耳





2016/01/03

詩が掲載されました:『詩と思想』2016年1・2月号

現在発売中の『詩と思想』1・2月号の「2015ベストコレクション」に、
詩「耳」が掲載されています。(初出:『あるところに、』vol.5)
お読みいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

http://userweb.vc-net.ne.jp/doyobi/

2016/01/02

2015自選3篇


歌人の方がTwitterで「2015自選15首」をアップしているのを見ていて、
私も2015年に発表した自分の詩から1篇を選んでみたいと思いました。

その結果、1篇に絞れなくて3篇選んでしまいました。

というわけで、
2015自選3篇と、その冒頭の引用をしますね。


「Yのデッサン」 Poe-zine『CMYK』VOL.4掲載

 檸檬を殺す夢。ひび割れのひかりきれいな体液は着地して雪に紛れた。
 ここはまだ、降ったばかりで、ひかりのはね方を知らない。ひとつ冬が
 終わるとまた冬がはじまる、くりかえすうちに、冬というなまえが要ら
 なくなってただ、雪を言う。


「あざ」 季刊『ココア共和国』vol.17掲載/第6回・202号室賞受賞作)

 速度を持ったいくつかのひかりが、ひとつの木をめがけてくる。
 ひかりは、木のからだで反射をして、どこかへ消える。そのひか
 りのうごきが、木にあざをつくる。ひとつの木が、あざからくさ
 っていく。木が、裂ける。


「花が燃えるとき」 アンソロジー詩集『現代詩100周年』掲載

 くすりいろの、壜の内側に花みだれ
 誰かおぼれているんでしょうか、陽が射すと
 はなのなは しろつめくさ
 誰かの
 おまじないでしょうか、





この中から、期間限定で「Yのデッサン」を全篇公開します。1週間程度で削除します。
よかったら読んでみてください。

Yのデッサン/黒崎立体 (PDF)

2016/01/01

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
2016年もどうぞよろしくお願いいたします。

ブログを新しくしました。
今年からはこのブログを使って発信していきます。

旧ブログはこちら:http://blog.kazahana.main.jp/



昨年はたくさん詩を発表することができました。ありがとうございました。
今年も詩を書いていきます。